11月は秋から冬へと移り変わる季節で、手紙やメールの挨拶文にも紅葉や冷え込みといった表現がよく登場します。
相手への気遣いを伝える「時候の挨拶」や「締めの言葉」を上手に使うと、文章全体がぐっと引き締まり、印象が格段によくなります。
本記事では、11月にふさわしい挨拶の例文をビジネス・プライベート別に多数ご紹介します。
上旬・中旬・下旬ごとに使える言葉や、実際にそのまま使えるフルバージョンの文例まで網羅。
さらに、シーン別の応用方法や、間違えやすい季節感の注意点も解説しています。
この記事を参考にすれば、年末に向けたビジネスメールから親しい人へのカジュアルな手紙まで、相手に寄り添う言葉が自然に選べるようになります。
ぜひ11月ならではの挨拶を活用し、心のこもったコミュニケーションを届けてみてください。
11月の時候の挨拶とは?基礎知識と使う場面
11月は秋から冬へと移り変わる季節で、挨拶文の表現も一年の中でも特に変化が大きい時期です。
ここではまず、11月ならではの自然の特徴と、なぜこの時期の時候の挨拶が大切にされるのかを解説します。
11月の季節的な特徴(霜月の由来と自然の移ろい)
11月は旧暦で「霜月(しもつき)」と呼ばれ、霜が降り始めることに由来しています。
木々が赤や黄色に色づき、落ち葉が舞い散る光景は、手紙の冒頭を彩る題材としてぴったりです。
また日が短くなり、冬支度を意識する頃でもあるため、挨拶文では寒さや年末を意識した言葉がよく使われます。
自然の様子 | 挨拶に取り入れる言葉例 |
---|---|
紅葉が見頃 | 「紅葉の候」「落ち葉舞う季節」 |
朝晩の冷え込み | 「向寒の折」「初霜の知らせ」 |
日が短くなる | 「日暮れが早くなり」「冬の足音が近づく」 |
自然や気候の表現を一言添えるだけで、相手に季節感が伝わります。
なぜ11月の時候の挨拶が大切なのか
時候の挨拶は、日本独自の「相手を思いやる言葉の文化」です。
11月は年末に向けて慌ただしくなる時期であると同時に、気温の変化も大きいため、相手の体調を気遣う表現が特に喜ばれます。
たとえばビジネスなら「ご健勝をお祈りいたします」、プライベートなら「温かくしてお過ごしくださいね」など、シーンごとに言葉を選ぶことが重要です。
まるで冬支度を始めるように、言葉にも季節の温もりを添えることが、良い関係を築く第一歩になります。
つまり、11月の時候の挨拶は単なる定型文ではなく、相手との距離を縮める「心の温度計」なのです。
11月の時候の挨拶【ビジネス向け例文】
ビジネスシーンでの挨拶は、相手への敬意を示しつつも季節感を織り交ぜることが大切です。
ここでは11月の全般・上旬・中旬・下旬に使える挨拶文と、締めの言葉を具体的にご紹介します。
そのまま使えるフルバージョン例文も用意しましたので、ビジネスメールや手紙に役立ててください。
11月全般で使えるビジネス挨拶文
1年を通しても使いやすいのが「〇〇の候」という表現です。
特に11月は寒さや落ち葉に関連した漢語表現が多用されます。
- 「落ち葉の候、貴社ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。」
- 「向寒の折、皆様にはお変わりなくご健勝のことと拝察いたします。」
- 「日増しに寒さが深まる時節、お元気でいらっしゃいますか。」
シーン | 表現例 |
---|---|
初めての取引先 | 「落ち葉の候、平素は格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。」 |
社内メール | 「朝晩冷え込むようになりましたが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。」 |
11月上旬に使える表現例
- 「晩秋の折、いかがお過ごしでしょうか。」
- 「秋晴れの心地よい季節となりましたが、皆様ご健勝のことと存じます。」
- 「初霜の知らせが届く頃となり、朝夕の冷え込みが厳しくなってまいりました。」
11月中旬に使える表現例
- 「立冬のみぎり、貴社いよいよご繁栄のことと心よりお慶び申し上げます。」
- 「暦の上では冬となりましたが、まだ秋の名残を感じます。」
- 「木々の葉が色づき、季節の移ろいを感じられる頃となりました。」
11月下旬に使える表現例
- 「日が暮れるのが早くなり、年末が近づいてまいりました。」
- 「朝晩の冷え込みが身にしみる季節ですが、お変わりありませんか。」
- 「冬の足音が聞こえ始める時期、皆様いよいよご活躍のことと存じます。」
ビジネス文書に使える締めの言葉例
- 「向寒のみぎり、くれぐれもご自愛くださいませ。」
- 「日一日と寒さが募ってまいります。ご自愛専一にお過ごしください。」
- 「年末に向けお忙しいことと存じますが、ご健康には十分ご留意ください。」
- 「今後とも変わらぬご厚誼を賜りますようお願い申し上げます。」
フルバージョン例文(そのまま使えるメール形式)
件名: 【ご連絡】11月のご挨拶とご案内
落ち葉の候、貴社ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
平素は格別のご高配を賜り、誠にありがとうございます。
さて、11月に入り朝晩の冷え込みが厳しくなってまいりました。
貴社におかれましては、ますますご発展のことと拝察いたします。
年末に向け何かとご多忙のことと存じますが、どうぞお体にお気をつけてお過ごしください。
今後ともご厚誼を賜りますようお願い申し上げます。
取り急ぎ、時節のご挨拶まで申し上げます。
11月の時候の挨拶【プライベート向け例文】
親しい人への手紙やメールでは、かしこまりすぎず、あたたかみのある言葉選びがポイントです。
ここでは、11月全般から上旬・中旬・下旬に分けたカジュアルな表現と、締めの言葉、さらにそのまま使えるフル文例をご紹介します。
11月全般で使えるカジュアル挨拶文
- 「朝晩の冷え込みが厳しくなりましたが、お元気でしょうか。」
- 「落ち葉が舞う季節となりました。お変わりありませんか。」
- 「日に日に秋が深まりますが、いかがお過ごしですか。」
相手 | 表現例 |
---|---|
友人 | 「寒くなってきたけど、風邪ひいてない?元気かな。」 |
家族 | 「木枯らしが吹いてくる季節になりましたね。体調大丈夫?」 |
11月上旬に使える表現例
- 「枯葉が舞い散る季節、秋の香りを楽しんでいます。」
- 「秋晴れが続くこの頃、気持ちのいい日々ですね。」
- 「日差しがやわらかく、心地よい季節になりました。」
11月中旬に使える表現例
- 「山々がうっすらと冬化粧を始めましたね。」
- 「暦の上ではいよいよ立冬ですが、まだ秋の気配も感じます。」
- 「菊の花の香りが漂う季節になりました。」
11月下旬に使える表現例
- 「日が短くなり、夜が長くなってきました。」
- 「冬の訪れを感じる今日この頃、体調には気をつけてください。」
- 「初雪の便りも聞かれる頃、ぬくもりが恋しい季節ですね。」
親しい相手に添える締めの言葉例
- 「年末に近づき、さらにお忙しくなる時期かと思いますが、くれぐれもご自愛ください。」
- 「寒さに向かう季節、温かくしてお過ごしください。」
- 「ご家族皆さま、お元気で紅葉の秋を満喫してください。」
- 「これから寒さが厳しくなりますが、どうぞお身体ご自愛ください。」
- 「お互い体調に気をつけ、元気に冬を迎えましょう。」
フルバージョン例文(親しい人への手紙形式)
朝晩の冷え込みが厳しくなってきましたが、お変わりなくお過ごしでしょうか。
こちらでは街路樹の葉が色づき、秋の深まりを感じる日々です。
先日は楽しい時間をありがとうございました。
寒さが一段と増す頃ですので、どうぞ温かくしてお過ごしくださいね。
また近いうちにお会いできるのを楽しみにしています。
シーン別・応用編|11月の挨拶の使い分け
同じ11月の時候の挨拶でも、ビジネス・フォーマル・プライベートでは適切な言葉選びが異なります。
ここでは、シーンごとに最適な例文やフルバージョン文例を紹介します。
使い分けを意識することで、より相手に響く挨拶文になります。
ビジネスメール・社内連絡での使い方
11月は年度末や決算を控え、相手が忙しい時期です。
「お忙しいことと存じますが」と添えると気遣いが伝わります。
- 「年末に向けてご多忙のことと存じますが、体調にはご留意のうえご活躍ください。」
- 「寒さが増す時期、皆さまにはますますご健勝のこととお喜び申し上げます。」
相手 | 例文 |
---|---|
上司 | 「寒さが増してまいりましたが、ご健康には十分ご留意くださいませ。」 |
社内チーム | 「忙しい時期が続きますが、体調を崩されませんように。」 |
招待状やフォーマル文書での使い方
結婚式やイベント、法要などでは格式を重んじる漢語調が基本です。
- 「霜降の候、貴殿ますますご清祥のことと拝察いたします。」
- 「晩秋の候、皆さまのご健康を心よりお祈り申し上げます。」
フルバージョン例文(案内文風)
霜降の候、皆さまにおかれましてはますますご清栄のことと拝察申し上げます。
さて、来る11月20日に記念の式典を開催する運びとなりました。
ご多忙の折とは存じますが、ぜひご出席賜りますようお願い申し上げます。
末筆ながら、皆さまのご健勝を心よりお祈りいたします。
親しい人への手紙・メールでの使い方
親しい相手には、あまり堅苦しくせず日常の出来事や気持ちを織り交ぜましょう。
- 「急に寒くなりましたが、お互い元気に過ごしましょうね。」
- 「紅葉がきれいな時期ですね。散歩が楽しくなります。」
フルバージョン例文(友人宛メール)
朝晩冷えるようになってきたけど、元気にしていますか。
こちらは紅葉がちょうど見頃で、散歩するのが楽しい季節です。
最近は仕事でバタバタしているけれど、また近いうちに会いたいね。
寒さに向かう時期だから、風邪などひかないように温かくして過ごしてください。
11月の時候の挨拶と締めの言葉の注意点
便利な時候の挨拶や締めの言葉ですが、使い方を誤ると「季節感がずれている」「相手に合っていない」と違和感を与えることもあります。
ここでは、11月ならではの注意点を具体例とともに解説します。
季節感のズレを避けるコツ
11月は上旬・中旬・下旬で大きく気候が変わるため、表現を間違えると不自然になります。
例えば、11月上旬に「初雪の便り」と書くと早すぎてしまいます。
出すタイミングに合わせて言葉を選ぶことが大切です。
時期 | ふさわしい表現例 | 避けたい表現例 |
---|---|---|
11月上旬 | 「秋晴れの候」「晩秋の折」 | 「初雪の便り」「師走を迎え」 |
11月中旬 | 「立冬のみぎり」「菊花の候」 | 「真冬の寒さ」「大寒の折」 |
11月下旬 | 「冬の足音が聞こえる頃」「夜寒の折」 | 「紅葉の候」(遅すぎる場合あり) |
相手やシーンに応じた表現の選び方
同じ挨拶文でも、ビジネスとプライベートでは響き方が違います。
ビジネスでは「漢語調」が基本、プライベートでは「口語調」を使うと自然です。
- ビジネス向け: 「向寒の折、ますますのご繁栄をお祈り申し上げます。」
- プライベート向け: 「朝晩冷えてきましたね。体調に気をつけてください。」
相手との距離感を意識することで、挨拶文のトーンがぐっと自然になります。
締めの言葉で印象を良くするポイント
結びの挨拶は、文面全体の印象を左右する大切な部分です。
ビジネスでは「ご自愛専一に」などフォーマルな言葉、プライベートでは「温かくしてお過ごしくださいね」など柔らかい言葉を使い分けましょう。
- ビジネス例: 「年末に向けご多忙のことと存じますが、くれぐれもご自愛くださいませ。」
- プライベート例: 「冬支度の季節ですね。あったかくして元気に過ごしてください。」
「締めの一言」こそが相手への思いやりを最も表現できる部分です。
ほんの一文で、相手に安心感や温かさを伝えられます。
まとめ|11月の挨拶で心を伝えるコツ
ここまで11月の時候の挨拶や締めの言葉を、ビジネスからプライベートまで幅広くご紹介しました。
最後に、相手により気持ちが伝わるコツを整理してまとめます。
例文を活用してオリジナル感を出す
そのまま使える定型文は便利ですが、ほんの一言アレンジするだけで、印象が大きく変わります。
例えば「落ち葉の候、ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。」に「こちらでも街路樹の紅葉が見頃です」と一文添えると、ぐっと親しみやすくなります。
例文+自分の近況を組み合わせるのが、最も簡単で効果的な方法です。
使い方 | 例文 |
---|---|
定型だけ | 「向寒の折、くれぐれもご自愛ください。」 |
オリジナルを加える | 「向寒の折、くれぐれもご自愛ください。こちらも朝晩冷え込むようになり、冬支度を始めました。」 |
相手に合わせた一言を添える
同じ11月の挨拶でも、相手が取引先なのか、友人なのかで添える言葉は変わります。
ビジネスなら「今後ともご厚誼を賜りますようお願い申し上げます。」
友人なら「寒いけど、また一緒に出かけようね。」
相手を思い浮かべながら最後の一言を添えることで、言葉に温度が宿ります。
つまり、11月の時候の挨拶は「季節感+相手への気遣い+自分らしさ」の3つが揃うと、最も心に響く文面になります。
メールでも手紙でも、この3つを意識すれば、ただの挨拶が「相手の心に残るメッセージ」へと変わります。
ぜひ今回の例文を活用して、11月らしいあたたかい言葉を届けてみてください。